「困っている人を助けたい」という感情の構造のことを思うと、うすらおそろしい気持ちになる。その構造を不健全と捉えてしまったら、一体何を健全と捉えればいいのかわからなくなるが、それでも、わたしはその構造のことを思うと、うすらおそろしい気持ちになる。わたしの考える健全さは、他者を必要としないより純粋な探求にあるのだ。「助けたい」という感情は、必ず他者を必要とする。「困っている人」というのは通常「自分より弱者」と捉えた他者であることがしばしばであることも、忘れてはいけない。