自分の中の泥と沼を知っていることは、幸か不幸かわからない。知らずともよかった泥ではあるが、それは紛れも無く自分の中にある。それを知ることを成長と呼ぶのか否か。覗き込んだ淵は、ずっと近くにあるが、そのおかげでわたしはわたしを保てていることは事実だ。淵の持つ引力に引きずられぬように足を踏ん張って、坂道をのぼる。